今日はクリープハイプっていうバンド界のサブカルキングのお話。
言わずと知れた超有名バンドだし、最近はボーカルの尾崎世界観が朝の情報番組に出たり、クリープハイプのすべ展っていう展覧会を開催したりして、邦ロックをよく聴く人で名前も聞いたことないっていう人はいないんじゃないでしょうか。
そんな彼ら、声のせいか少し過激な歌詞のせいか、とても好き嫌いの別れるバンドで、それはおそらく本人たちがいちばん理解してそうですよね。
こういう曲にしちゃうくらいには。
なんというか、たしかに声とか唄い方に慣れるまで時間がかかるんですよね。でもだんだんとそれが癖になってきて、そうなるとたしかに繰り返し聴きたくなるメロディとか、シンプルにかっこいいバンドサウンドとか、やけにリアルな擦れた歌詞とかにどはまりしちゃうんですけど、そこまでたどり着ける人とそうじゃない人がいるわけで。
まあ、正直にいうと僕もめっちゃファンとかってわけではないです、ぶっちゃけ。
過去のアルバムもリリースの度にチェックはしてますけど、その全部を聴き込んだかと言われると、やっぱり曲の良さの深いところにたどり着くまでに至らなかったものもあったり。
それでもって、クリープハイプ、新譜が発売されたんですけど、過去の過ちを大概夏のせいにしてきた彼ら、今度は夏の終わりにいったいどんな懺悔を曲にしたのかと思って聴いてみたら。
あれ、こんなに前向きで聴きやすいバンドでしたっけ、クリープハイプ。
別に声とか唄い方が突然変わったわけでもないのに、一聴しただけでめちゃくちゃ耳に馴染む驚きの聴きやすさ。
人気バンドのボーカリストがコラボして唄うキャンペーンソングとして書き下ろされたこの曲も、アルバムの中では正直浮いちゃうんじゃないかと思ってたんですけど、クリープハイプのアレンジになって今回のアルバムに収録されてみると、びっくりするほどクリープハイプの楽曲として溶け込んでる。むしろこっちのバージョンの方が好き。
それで今作の中で僕がいちばん好きなのは、アルバムタイトルの「泣きたくなるほど嬉しい日々に」がそのままサビに使われている「泣き笑い」という曲。
このフレーズ自体すごく好きなんですけど、こんなに優しくて切ないメロディ乗せられたらもう、泣いちゃいますって。
いやいや、クリープハイプってもっと歌詞も曲も刺々しかったじゃないですか。少なくともリード曲とかは。
でも今作、全体を通して優しいというか幸福感のある曲調が多い印象なんですよね。
先に挙げた2曲もそうですけど、「陽」とか「燃えるごみの日」とか。
でもそれだけじゃないのが、そこはさすがクリープハイプで、スカっぽいリフやメロディを入れた「おばけでいいからはやくきて」とか、ストリングスのアレンジが印象的な「禁煙」にしても、しっかり曲の幅があって飽きさせない上に、全ての曲にこれまでのクリープハイプの個性が発揮されてて、本当に良いバンドだなと。
過去作を改めて聴き直したくなりました。
別に僕は古参でも熱烈なファンでもないのでわからないですけど、ネットの評判とかみる限り、クリープハイプの昔からのファンも納得の出来の新譜で、新規の人も聴きやすい、まさに名盤だと思います。
声が苦手と一度は聴くのをやめてしまったあなたも、今回のアルバムはぜひ手にとってみては。