ダサいのって嫌いですよね、皆さん。
僕も嫌いです、ダサいこと。正確にいうと、「ダサい」って思われるのが嫌です。めちゃくちゃ嫌。
できることなら、「ダサい」って思う側でいたいし、「かっこいい」と思われていたい。そのために皆が「ダサい」って思うようなことはなるべく避けたいし、皆からセンス良いって思われるようなことしかしたくない。かっこつけてたい。見栄も張りたい。
もう、この考え方が既にダサいし、かっこよくない。それも知ってる。
皆が良いと思うものに迎合するばかりで、自分が良いと思うものを信じきれてないところがダサいし、その他大勢に自分から紛れていってるのももうかっこ悪い。
もっと、「誰がなんと言おうと自分はこれがかっこいいと思う」って強気な態度でいれたら、それがかっこいいなって思うんです。
そういう意味で僕が本当にかっこいいなと思うバンド、BURNOUT SYNDROMESのお話です、今回は。
2/20に「明星」というニューアルバムをリリースした彼ら、過去にはハイキュー!!の主題歌を2期連続でつとめたり、銀魂のエンディング(上記リンクの曲)にタイアップされたこともあるし、名前くらいは聞いたことあるって人はそれなりにいるかと思います。
この曲だけ聴いたことあるとか。
一方で、あまり聴き込んではないって人も多いのではないでしょうか。一度聴いて「なんか合わないかも」くらいの感じで離れていってしまった人とか。「ああ、ハイキュー!!の人たちだよね」とか。
まあ、声質も曲もクセはかなり強いですし、正直万人にすっと受け入れられるタイプのバンドではないかもしれません。
でも、それで離れてしまうにはあまりにもったいないくらいかっこいいバンドなんです、彼ら。
まず言いたいのは、バーンアウトの良さが本当につまっているのは、アルバムだということ。シングル曲のMVよりアルバムのトレーラーの方がオススメしたいくらいアルバムがいいんです。もちろんシングル曲が良いのは間違いないんですが、アルバム曲のバリエーションが本当に豊かで、そのどれもがシングルとして出されてもおかしくないくらいの完成度。それらの曲がひとつのアルバムの中で調和して、化学反応を起こしてる。アルバム1枚聴けば耳に満腹感が残るくらい多彩なアイデアが詰まってる。おせちかよ。それくらいアルバム1枚にこだわってる。
さすがに褒めすぎだろ、と思ったあなた。とりあえずメジャー1stと2ndのアルバムのトレーラーを貼るのでどうぞ。トレーラーにここまでこだわるのかって引くかもしれない。僕は引いた。
彼ら、というかソングライティングを担うボーカル熊谷の書く歌詞、とりわけ膨大な語彙とそれを活かした圧倒的な表現力を武器にしていることはわかりやすいですけど、メロディや曲のアレンジにも同じくらい力をいれているのがわかる。クオリティが凄まじい。
ただ。
ただ、ここまでべた褒めしておきながらひとつだけ白状すると、僕は彼らの曲に対して、正直、こう思ってしまうことがあるんです。
ダサい、と。
1stアルバム「檸檬」の冒頭で囁かれる「雨、雨、雨」とか、2ndアルバム収録「若草山スターマイン」の「どん!」とか。
正直、ところどころで不意に現れる感動するくらいのダサさにびっくりしてしまうこともしばしば。
だって、普通、そんなことしない。というかしようとも思わない。
ありきたりな感性であれば、せっかく曲がかっこいいんだからそんな風変わりなアレンジを入れたら曲の印象がダサくなってしまうかも、とか考えてしまうような、わかりやすくダサいことを平気でしてくる。
もう、笑っちゃうくらい。
でも、不思議なことに、繰り返し聴くたびにこれがクセになってることに気づくんですよね。彼らがあまりに堂々とダサいことやってるからか、あるとき「あれ、かっこいい…?いや、騙されるか!いやでも…もしかして…」みたいになるときがあるんです。
もう、そんなこと考えちゃってる時点で僕らの負け。聴きたくなっちゃってるわけだし。
「これがかっこいいんじゃい」で感性そのものをぶん殴られたような感覚。
そんな、「ダサくね?」の先に出会う「あれ、かっこいい」を与えてくれるのがバーンアウトシンドロームズというバンド。
彼らが「これがかっこいい」と信じて、彼らなりの感性を全開に音楽をやってるからこそ到達できる領域なんです。
そんな彼らのメジャー3rdフルアルバム「明星」はコンセプトアルバム。こだわりが強すぎるバーンアウトがめちゃくちゃにこだわってつくったアルバムということで、まあ最高なんですよね。当然。
初期からバーンアウト聴き続けてるファンの方ならわかってもらえると思うんですけど、アルバムを通して聴いてると、「そうそう!これこれ!」って瞬間が何度もある。
アルバム冒頭の語りからの「星の王子様」のタイトルコール、「世界を回せ」で始まるぞ!とわくわくさせるイントロ、「SPEECH」の終盤にかけての怒涛の盛り上がり、「MASAMUNE」の癖の強いラップ調、「あゝ」のリフ、「国士無双役満少女」の遊び心の詰まったかけあいとキャッチーなメロディのギャップ。とか。挙げれば切りがないほど。
もう全部、はじめから「かっこいい」と思ってしまうのはバーンアウトの音楽にぶん殴られ続けたからなんだと思います。
そしてアルバムラストの"あれ"。
これはもうアルバムを通して一度聴いてほしい。先を急ぐことなく、順番に、できれば歌詞カードを開きながら。
そこには、バーンアウトにしかつくりだせない感動体験が待ってます。
皆さんもこれを機にBURNOUT SYNDROMESをぜひ。もしはまったらインディーズの頃まで遡るのもオススメです。バーンアウトの世界が無限に広がっていくので。
では。