sankanshion°、さんかんしおん、皆さんは知ってますか。語尾の「゜」は誤字ではないし、三寒四温の気候だから身体に気をつけてほしいとかそういう話をしたいわけでもありません。
誰よりも優しいバンドの話です。
今日も今日とて、頼まれてもないのに最高のバンドを勝手にオススメします。結局、自分が良いと思ったものはみんなにも良いと思ってもらえるはず、口では「そんなわけない」とわかったふうに嘯きながら、心のうちではそういう自信を捨てきれない傲慢な生き物なんです僕は。だから性懲りもなく、マジで良いのに、それに見合った知名度や評価がないと判断したバンドをこのブログは一方的に応援して、誰かもわからない奴らにゴリ押ししていきますよ。そこ、「あーはいはい、いつものやつね」みたいな顔しないで。いつもなんだかんだ読んでくれてありがとうね。
とりあえず聴いて。
「ひとりかくれんぼ」
聴いてすぐ「あ、これ好きなやつだ」となってくれる人が絶対いるとは思うんだけど、その一方でこうやってリンクを貼ってもわざわざ再生してはくれない人が結局多いだろうから、とりあえず歌詞のつまみ食いどうぞ。
昨日飲み込んだ言葉
今になってちょっと吐きそうになってトイレに行ったんだ
でも上手く出なくて気付いたよもう背中をさすってくれる君はいない
いつか君の好きだったあの歌は なんだか好きになれなかった
なのに今になって聴いたりする
この歌い出しとサビ終わりの歌詞だけでも万人に「これは自分の歌だ」と思わせるセンスが溢れてるのがわかる。いいですよ、戻って聴いてきても。
別に売れ線バンドにありがちな高音ボイスでもないし、奇をてらったり歌唱力をひけらかしたりした歌い方もしない。聴く人が聴けば地味だと言うかもしれない。
でも、だからこそ歌詞がすっと入ってくる。いや、歌詞の鋭さとメロディの綺麗さが相まって、耳にドバドバ流れ込んでくる。
こういうの、バンプとか歌詞で深く考えさせてくるバンドに多い傾向なんだけど、歌詞をしっかり聞くのにいつの間にか集中してて、「ながら聴き」ができない。そういう「曲に集中させる力」みたいなものが、sankanshion゜の音楽にはある。
メロディにしても、ここまでサビがしっかり耳に残る曲を作れるバンドはそんなに多くない。落ちサビがドラムのリズムだけでしっかり映える曲を聴くとなんだか食欲が湧いてくる僕も、この落ちサビなら白飯3杯はいける。僕はいま何を言っていますか?
この曲は失恋ソングだけど、このsankanshion゜ってバンドは、ひとりひとりに寄り添う歌をつくるのが本当に上手い。
「囚人」
「おまじないの歌」
MVのセンスもいい。リリックビデオだったり、アニメーションだったり、曲に集中する上で決して邪魔にならない絶妙なラインの視覚的演出。
そして歌詞がめちゃめちゃ良い。
生きていく上でひっそり抱える葛藤や孤独に丁寧に寄り添ってくれているのがわかる。そういう題材の歌は世の中に溢れかえってはいるけれど、落ち込んでる人に雑な共感や下手な励ましが逆効果であるように、いまいち的を射ていないことが多い。
でも彼らの音楽は、ちゃんと同じ目線から言葉を選んでいるのが伝わってくる。「君」と「僕ら」が限りなく近いところにいて、ともすれば同じであるとも受け取れる。それほどまでに「自分に歌われてる」っていう意識をひとりひとりに届けるのは、並大抵の"優しさ"ではできない。だからこそ、もっと多くの人に届いてほしい。
「透明な人間」
このクオリティの楽曲が4年前に公開されて、いまだ再生回数1万回そこそこってのも信じられない。もっともっと多くの人を孤独から救える可能性を持ってるのに、なんだか悔しくなる。
「お願い 誰か気付いて」
この歌詞はそのままこの曲の、このバンドの叫びのようにも聞こえてきて、ほんとに誰かこのバンドに気付いてほしい。
「ワールドエンドが聴こえない」
そんな彼らが3月にフルアルバムを配信リリースした。各種サブスクでも聴ける。こんなに素敵な音楽を自由に聴けるようになったんだから、円盤の衰退とダウンロード音源の台頭も悪いことばかりではないと思えてくる。
ここで上げた曲、今までライブではやっていたけど音源化されてなかった曲、そして新曲と盛りだくさんの13曲入りファーストフルアルバム「Worldend no one knows」、ぜひ聴いてみてください。
では。