おかしい。
絶対におかしい。
マカロニえんぴつが誇る名曲「ボーイズ・ミーツ・ワールド」が世の中に浸透していないなんて、おかしいにも程がある。
マカロニえんぴつというふざけた名前のバンドが売れに売れるという稀有な事態が起こってるいま、この年にリリースされた中でも指折りの名曲であるこの曲のYouTube再生回数がわずか60万回程度でくすぶってるというのは、はっきり言ってありえない。同時期に公開された「恋人ごっこ」はいまや1200万回以上再生されてるというのに。なんだ1200万回て。「ねえ、もう一度だけ」を何回やれば気が済むんだ。たった今さよならしたばっかりだろうが。
とりあえずみんな、気づけ、ボーイズ・ミーツ・ワールドに。出会え、世界に。
各位、出会ってますか。
「まだ世界に出会ってないよー」って人も、安心してください。少し戻って再生ボタンをタップしたくなるように、これからこの曲の魅力をぶちまけるから。
いや、もう少しだけ正確に言うなら、「戻って曲を聴いた方が早いなー」って思ってしまうくらい、ここから怒涛の一人語りを始めるから。ついてこれなくなった人から順にイヤホンを装着していってくださいどうぞ。
この曲、控えめに言って"人生"そのものなんですよ。ほんとに。
あれ、もう引いてる?まって。もう少し聞いて。いかないで。ぼくの好きなひと。形のないものばかり追い求め過ぎてた件は謝るから。
まあ、去ってしまった人はさておき。
この曲においては歌詞の引用なんて無粋だとは思うのだけど、こちとらこの曲の再生回数を伸ばさねばならぬという業を身勝手に背負ったからには、サビの歌詞をちょっとだけ拝借させてもらう。
素晴らしきこの世界に
しがみついて嘘を垂れた
少年だった僕たちは
カネを知ってヒトになった
ごめんな、まだ夢があんだ
ギリギリまだ人で居たいんだ
死ぬ前に もっとちゃんと生きたいんだ
夢の意味をあと少し確かめたいんだ
ここまで絶望と希望の葛藤が表れたサビの歌詞があっただろうか。これを"人生"と呼ばずなんという。ポジティブな言葉とネガティブな言葉がマーブル模様のごとく、溶け合うことなく混ざり合い併存している。さすがハロー、絶望してるだけある。
曲の展開も、低空飛行のAメロBメロから視界の開けるサビへと、一気に突き抜ける。絶望にほんのひとさじの希望をふりかけるだけで、自然と顔が上がってくる。そんな曲を書けるのは、方向性に悩みながらも、ひたすらポップを追求してここまで上がってきたマカロニえんぴつだからこそなのかなと。
そして曲の終盤にかけて、メロディを盛り込めるだけ盛り込むでお馴染みマカロニえんぴつだけど、この曲も例に漏れず詰め込みまくってる。なのに曲が崩壊することは決してない。たぶんスーパーの野菜の詰め放題やらせたら袋を破ることなく絶妙に限界まで詰めることができるタイプ。
2番サビ終わりのギターソロはゴリゴリのロックとしても通用するし、つづくCメロはポップながらもラップ並みの耳障りの良さ。
そしてさらに展開が一変することを予告するかのような小声の「ボーイズ・ミーツ・ワールド」。そそる。
軽快に鳴り響く鍵盤とサビのメロディをアレンジしたDメロ。このパート聴きながらノリノリで散歩するとすごく楽しい。ただ、金曜日の仕事帰りにテンション上がってひとりでMVさながらにステップ踏みながら口ずさむときは周りをよく確認した方がいい。通りすがりのおばあちゃんに見られるとすっごく恥ずかしいので…。
歌詞も一転してポジティブな言葉が並ぶ。
素晴らしきこの世界に
生まれたことがハッピーだ
アイラヴミー ずっと曖昧に
かと思えば、洒落たベースとともにシニカルなフレーズで絶望を覗かせて、
疑わしきオトナたち
言い訳の手札見せ合いながら
そっと愛が消える
I hate you
からの、
「でも… アァァァァイラァブユゥゥゥウウゥゥゥウウウ!!!!!」
で感極まったリスナーの耳を最強のラスサビでぶん殴ってくる。僕と同じように、ぶん殴られて「ありがとうございます」って気持ちになったのは初めてって人も多いのではないのだろうか。戸惑うのもわかるけど、あなたがまともな聴覚と鋭い感性と少しの変態性を持ってるってだけのことだからどうか安心してほしい。
この曲をハートロッカー、Supernovaにつづく人生のテーマソングとして苦しいときを乗り越えた僕としても、この曲で救われる誰かをひとりでも増やすことができたらそんな嬉しいことはない。
だからどうか、出会ってくれ世界に。
みんなきづけ、「ボーイズ・ミーツ・ワールド」に。
それではまた。
【過去のマカロニえんぴつの記事】
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