どうも、今日はこんな個人音楽ブログまで足を運んでくれてるような相当の物好きの方々からすれば、知らない人なんていないであろうバンドの話、させてください。
そういうふうに知名度が上がって、バンドをあまり聴かない層にまで名が知れ渡ったりすると、「昔はよかったよね」とか「前は聴いてたよ」とかなんとか言って謎のマウント取り出すやつ、いますよね。そんな百害あって一理なしのアピールはしない方がいいって誰でもわかりそうなもんなのに、どうやってもそういうこと言う奴らは現れてしまう。たぶんどんな対策打とうと、なぜか、いる。梅雨時季のコバエなんですかね。あいつらだけは物理法則を無視して無から生まれてるとしか思えない。
それはさておき、そんな不毛なマウントに使われがちなバンド、Mrs. GREEN APPLEの話です今回は。
彼らのように方向性がぐわんぐわんと揺れ動いた歴のあるバンドには、当然のようにその時期ごとに異なる層のファンがいて、これがどの時期もそれなりに売れていたばっかりに、先の「昔はよかった」バエが季節問わず大量発生してしまっているわけで。
ミセスには、「今は聴いてないけど昔好きだった」アピール勢がほんとめちゃめちゃいる。おまえが「パブリック」の頃が一番好きだったのはわかったから、一生知らぬ間に誰かを傷つけててくれ。
ただ、まあ、たしかに気持ちはわかる。
サマ~~~マママ・フェスティバルじゃねえよ。返せよ俺たちのちょっと影のあるミセスを。
その後の方向性も個人的にはあんまり好みではなくて、こんなチャラチャラしてピコピコしてギラギラしたミセスが、以前からのファンに等しく受け入れられるとも到底思えない。ヴィジュアルもなんだか韓流アイドルみたいだし。変わってないのはもっくんの眉毛の稼働域だけ。
この頃の、何がかっこいいかもわからず迷走しつつも曲だけはどストレートにかっこいいミセスが大好きだった僕らからすると、なんだか、悪い大人にでも騙されてるんじゃないかと心配すらしたもので、この話をすればするほど、実は自分が一番うるさい「昔はよかった」バエだってことがバレてしまうからそろそろやめますね。新聞紙で叩かないで、お願い……。
それでですよ。
最近の彼ら、どうなのかと。今月リリースされた新譜「Attitude」、聴きました。とりあえず同タイトルのリード曲がこちら。
めちゃめちゃ良いじゃん……。
曲の展開のどこをとっても旋律がきれいだし、サビ前の「そォォォーーーんなとこだけでもどこかに」の「そォォォーーーん」が好き。A5ランクの最高級高音ヴォイス。ふるさと納税のお礼の品にどうですか自治体各位。
サママ・フェスティバルとかいう我流の夏祭りを勝手に催すこともなく、「六本木のクラブ、行き慣れてます(行き慣れてはない)」みたいなギラついた装いもしてない。かといって、若さの勢いを武器にかっこ良さだけでゴリ押してくるわけでもなく、地に足着いたような落ち着きもある。ただ相変わらず唄と眉がめちゃめちゃ上手い。この曲も「あれ、眉がおとなしい……」と思わせてからの3分超えたあたりから前髪越しに躍動してる眉にほっとする。
アニメ主題歌も任されちゃうようなかっこいいロックもお手のもの。
この2曲だけで、彼らが本来持ってる楽曲の幅の広さを見せつけられているのはもちろん、ちゃんと「どっちのミセスもいいじゃん」となるのは、一度あらゆる方向にとことん振り切ったからなのかなと。どこまで行ったらどういう層に受けて、どこを越えたらファンが離れるのか、それを冷静に分析した上で、本人たちがやりたいことを思う存分やってる感じがする。彼らの才能を食い物にしようと近づいてきた悪い大人達を、むしろ彼らはまるごと利用してここまできた感がある。賢すぎる。
最近のリリースをあまり追ってなかったから、「青と夏」、「僕のこと」、「ロマンチシズム」はじめ、アルバムに入ったシングル曲であまり聴き込めてなかった曲がたくさんあったのだけど、改めて聴いてみたらそのクオリティの高さたるや。しかもそれぞれテイストは全然違うのに、しっかりミセスらしく仕上がっている。いろんなこと全部試して分析し尽くした結果なのか、何をやっても彼らの持ち味として良い方向に作用してるから本当にすごい。
かなり好き放題やってるのに、ひとつのアルバムとしても完成されていて、聴きごたえが半端ないです「Attitude」。
僕と同じように一度ミセスから離れてあまり聴かなくなってしまった方々も、今回の新譜を機に改めて聴いてみてはいかがでしょうか。
では。